特定技能所属機関としての登録・認定を受ける方法
特定技能制度で外国人を受け入れるには、所属機関としての登録・認定が必要です。本記事では、登録の要件や申請手続き、認定後に求められる義務についてわかりやすく解説します。
1.特定技能所属機関とは?
特定技能所属機関とは、特定技能外国人を受け入れて雇用する企業や団体のことを指します。
適切な労務管理や生活支援を行う体制が整っていることが求められ、制度の趣旨を理解した上での責任ある対応が必要です。
特定技能制度の概要と目的
特定技能制度は、深刻な人手不足に対応するために創設された在留資格制度で、一定の技能や日本語能力を持つ外国人が、日本の特定産業分野で働くことを可能にする仕組みです。
即戦力となる人材の確保と、日本人労働者との共生を前提とした制度設計が特徴であり、外国人の受け入れにあたっては、適切な支援体制と労働環境の整備が求められます。
制度の目的は、労働力の補完と産業の安定的な維持にあります。
所属機関に求められる基本的な役割
特定技能所属機関には、外国人材を雇用するだけでなく、その生活や職場環境の安定に向けた支援を行う責任があります。
具体的には、労働条件の適正な管理、定期的な面談の実施、日本語学習の支援、生活上の相談対応などが求められます。
また、出入国在留管理庁や関係機関への報告義務もあり、制度の信頼性を支える役割を担っています。
これらの取り組みを通じて、外国人と地域・職場の円滑な共生を図ることが求められます。
受入れ可能な業種と対象となる外国人材
特定技能制度では、人手不足が深刻とされる18の産業分野が対象となっており、建設、介護、外食、農業、宿泊、素形材産業などが含まれます。
これらの分野では、一定の技能水準と日本語能力を持つ外国人材が、特定技能1号として就労可能です。
さらに、熟練した技能を持つ人材は、建設や造船など一部分野で特定技能2号としての受入れも可能です。
業種ごとに求められる試験や基準が定められており、適切な確認が必要です。
2.登録・認定の要件と手続きの流れ
特定技能所属機関として登録・認定を受けるには、適切な雇用管理体制や支援体制が整っていることが求められます。
必要書類を整えて所管の出入国在留管理局に申請し、審査を経て認定される流れです。
所属機関としての要件(労務管理・財務状況など)
特定技能所属機関として認定されるには、安定した財務基盤と適正な労務管理体制を備えていることが必要です。
具体的には、過去に重大な法令違反がないこと、社会保険や労働基準法を遵守していること、労働条件が日本人と同等であることが求められます。
また、外国人材に対して生活支援を行う体制や担当者の配置も必須です。
さらに、必要な書類を整備し、継続的な報告義務を果たす姿勢も問われます。
これらを満たすことで、所属機関としての信頼性が評価されます。
必要書類と申請先の整理
特定技能所属機関としての認定を受けるためには、提出すべき書類が多数あります。
主なものとしては、申請書、雇用契約書の写し、支援計画書、労働条件通知書、会社の登記事項証明書、直近の決算書類などが挙げられます。
また、支援責任者や支援担当者の選任届出書も必要です。
申請は、外国人材を受け入れる地域を管轄する出入国在留管理局に提出します。
書類に不備があると審査が遅れるため、内容を十分に確認した上で準備することが重要です。
特定技能所属機関としての登録・認定申請に必要な主な書類一覧は下記です。
なお、申請内容や分野によって追加書類が求められる場合もありますので、出入国在留管理庁の最新情報を必ず確認してください。
🔹 特定技能所属機関 登録・認定の必要書類一覧
書類名 | 内容・備考 |
① 登録・認定申請書 | 所定の様式に記入 |
② 雇用契約書の写し | 労働条件や雇用期間などを明記した契約書 |
③ 労働条件通知書 | 日本人と同等の条件であることの証明 |
④ 支援計画書 | 生活・就労支援の具体的な内容を記載(特定技能1号対象) |
⑤ 支援責任者・支援担当者の選任届出書 | 支援体制を整備していることの証明 |
⑥ 会社の登記事項証明書 | 最新のもの(法務局で取得) |
⑦ 直近の決算書類 | 損益計算書・貸借対照表など(経営の安定性を確認) |
⑧ 社会保険・労働保険の加入を証明する書類 | 健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険などの加入状況証明 |
⑨ 誓約書 | 虚偽の申請をしない等の誓約(所定様式あり) |
⑩ 登録支援機関との契約書(外部委託する場合) | 外部支援を活用する場合のみ必要 |
※支援計画書とは?(特定技能受入計画書)
支援計画書とは特定技能受入計画書の事で特定技能所属機関が特定技能外国人を受け入れる際に作成する計画書で、外国人材の適切な受け入れ・支援体制を示すための重要な書類です。
具体的には、労働条件や生活支援の内容、支援責任者の配置、受け入れ期間中のフォローアップ体制などを詳細に記載します。
この計画書を作成し、所管の出入国在留管理局に提出・認定を受けることで、外国人が安心して働き生活できる環境が整っていることを証明します。
審査期間と認定後の対応
特定技能所属機関の登録・認定申請の審査期間は、通常1〜3ヶ月程度ですが、申請内容や書類の不備、審査の混雑状況によって変動することがあります。
審査を通過すると、認定証が交付され、正式に特定技能外国人の受け入れが可能となります。
認定後は、受入計画に基づく支援を継続的に実施し、外国人材の労働環境や生活状況を適切に管理する義務があります。
また、定期的な報告や書類提出も求められ、違反があった場合は認定取消しのリスクもあるため、継続的な法令遵守が重要です。
3.継続的な義務と注意点
特定技能所属機関は、認定後も継続して外国人材への支援や労務管理を適切に行う義務があります。
受入計画の遵守や定期報告、相談対応などが求められ、違反時には認定取消しのリスクもあるため注意が必要です。
受入計画の作成と届出義務
特定技能所属機関は、外国人材を受け入れる際に「受入計画」を作成し、所管の出入国在留管理局へ届出を行う義務があります。
この計画には、就労環境の整備や生活支援の具体的な内容、支援担当者の配置状況などが詳細に記載されます。
計画に基づく支援が適切に行われているかが、継続的な審査や報告の対象となり、計画の遵守が所属機関の信頼性維持に直結します。
計画未作成や不備がある場合は認定取消しの可能性もあるため、正確かつ丁寧な作成と適時の届出が重要です。
外国人材への支援義務とその具体例
特定技能所属機関は、外国人材が安心して働き生活できるよう、さまざまな支援義務を負います。
具体的には、日本語能力向上のための学習支援や生活に必要な情報提供、住居や公共サービスの案内、健康管理や相談対応が挙げられます。
また、職場での労働条件の説明や定期的な面談を通じて、労働環境の把握と改善に努めることも重要です。
さらに、トラブル発生時の相談窓口を設置し、迅速かつ適切な対応を行うことで、外国人材の定着と職場の円滑な運営を支えます。これらの支援は、制度の信頼性向上にもつながります。
監査・報告義務と違反時の対応
特定技能所属機関は、外国人材の受入れ状況や支援体制について定期的に監査を受け、必要に応じて所管の出入国在留管理局へ報告する義務があります。
監査では労働条件の遵守や支援計画の実施状況が確認され、不備や問題が見つかった場合は改善指導が行われます。
重大な違反や改善がなされない場合は、認定の取消しや再申請の制限など厳しい行政処分が科されることもあります。
そのため、所属機関は法令遵守を徹底し、透明性の高い運営を継続することが求められます。
制度を正しく理解し、安定した受入れを実現するために
特定技能制度を正しく理解し、所属機関としての義務を果たすことが、外国人材の安定した受入れにつながります。
適切な支援体制の構築と継続的な法令遵守が、双方にとって良好な職場環境を作る鍵です。
事前準備と継続的サポートの重要性
特定技能所属機関として外国人材を受け入れる際は、事前準備が非常に重要です。受入計画書の作成や必要書類の整備、支援体制の構築などを丁寧に行うことで、スムーズな申請・認定取得が可能になります。
また、認定後も継続的なサポートが欠かせません。労働環境の整備や生活支援、定期的な面談や相談対応を通じて、外国人材の定着と職場の安定化を図ります。
これらを怠るとトラブルや認定取消しのリスクが高まるため、計画的かつ持続的な取り組みが成功の鍵となります。