少子高齢化で人手不足が深刻化する外食業界。特定技能「外食業分野」では、店内飲食に限らず持ち帰り・配達サービスでも外国人材の雇用が可能です。本記事では、その対象業態や受け入れのポイントを解説します。

1.持ち帰り・配達飲食サービスも対象となる理由

特定技能「外食業分野」では、店内での飲食に加え、持ち帰りや配達サービスも雇用対象です。

お客様に完成品として提供される飲食サービスであれば、宅配ピザや弁当店、テイクアウト対応のレストランなど幅広い業態で外国人材の就労が認められています。

特定技能制度における「外食業」の定義

特定技能「外食業分野」では、飲食店における調理・接客・店舗運営が対象業務とされています。

その範囲は店内での提供に限られず、持ち帰り（テイクアウト）や配達（デリバリー）を通じて提供される飲食サービスも含まれます。

お客様に完成品としての料理を直接提供するという点で、外食サービスの一形態と認められているためです。

テイクアウト・デリバリー業務が含まれる背景

外食業界は人手不足が深刻であり、特に宅配ピザや宅配すし、弁当チェーンなどでは需要増に人材が追いつかない状況があります。

そのため、特定技能制度においては、注文受付や調理、配達準備などを行う持ち帰り・配達サービスも雇用対象として認められています。現場の人材ニーズに即した柔軟な運用が進められているのです。

小売業や食品製造業との明確な違い

注意が必要なのは、すべての飲食関連業務が対象になるわけではない点です。

例えばスーパーの総菜売場やコンビニの弁当販売は「小売業」に分類されるため対象外です。

また食品工場での製造ライン作業も「製造業」にあたり外食業分野には含まれません。

お客様に対し「出来上がった料理を飲食サービスとして提供する事業」であるかどうかが判断基準となります。

2.外国人雇用が可能な具体的業態

特定技能「外食業分野」では、宅配ピザや宅配すし、弁当店、ファストフードのテイクアウト、レストランや居酒屋の持ち帰り・配達サービスなど幅広い業態で外国人雇用が可能です。

調理補助や注文受付、配達準備など多様な業務に携わることができます。

宅配ピザ・宅配すしなどデリバリー専門店

宅配ピザチェーンや宅配すし店など、デリバリーを主業とする店舗は特定技能の対象業態です。

これらの店舗では、電話やアプリを通じた注文受付、調理や盛り付け、配達スタッフへの引き渡しなど多様な業務があります。

外国人材は調理補助や受付対応などで活躍でき、人材不足を補う存在となります。

弁当店やファストフードチェーンの持ち帰りサービス

持ち帰り専門の弁当店や、マクドナルド・ケンタッキーなどファストフードチェーンが提供するテイクアウトサービスも対象です。

厨房での調理やパッケージング、カウンターでの注文対応など業務範囲は広く、外国人材の活用が進んでいます。

マニュアル化された業務が多いため、教育が行いやすく早期戦力化しやすい点も特徴です。

飲食店が兼営するテイクアウト・デリバリー

レストランや居酒屋などが通常営業に加えて行うテイクアウトやデリバリーサービスも、特定技能の対象に含まれます。

例えばラーメン店が持ち帰り容器で販売するケースや、居酒屋が宅配弁当を提供するケースです。

従来の店内業務と同じく、外国人材は厨房補助や梱包、注文受付など幅広く関与することが可能です。

3.実務における受け入れのポイント

持ち帰り・配達飲食サービスで外国人材を受け入れる際は、注文受付や梱包、配達準備など特有業務の教育、衛生・交通安全管理、多国籍スタッフ間の円滑なコミュニケーション支援が重要です。

これにより定着率向上と安定した店舗運営が可能になります。

注文受付や配達準備など特有業務の教育

持ち帰り・配達サービスでは、注文受付の正確さや梱包作業の丁寧さが特に重要です。

外国人スタッフに対しては、注文内容の聞き取りや商品の確認方法などを分かりやすく教育する必要があります。写真や多言語対応マニュアルを活用すれば理解度を高められます。

交通安全・衛生管理を意識した指導

デリバリー業務に関わる場合、交通安全や衛生管理への意識付けが欠かせません。

特に配達用の容器の取り扱いや、温度管理の徹底は品質保持に直結します。交通ルールや店舗ごとの安全ルールをしっかり共有することで、トラブルを防ぎ、安心して働ける環境を整えられます。

多国籍スタッフとのチームワークづくり

持ち帰り・配達サービスではピーク時にチームワークが求められます。多国籍スタッフが協力しやすいよう、日本語教育や異文化理解のサポートが必要です。

相談窓口の設置や外国語対応スタッフの配置により、働きやすい職場づくりを進めることが定着率向上につながります。

持ち帰り・配達分野でも外国人雇用は人材不足解消の鍵

特定技能「外食業分野」は、店内飲食に限らず持ち帰り・配達サービスも対象となる制度です。

宅配ピザや弁当店、ファストフードなど幅広い業態で外国人雇用が可能となり、人材不足解消に直結します。

教育や安全指導を徹底し、異文化を尊重したチームづくりを行うことで、持続的な人材活用と安定した店舗運営が実現できます。