建設分野で外国人雇用ができる職種とは?制度別にわかりやすく解説!

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外国人材の受け入れが進む中、建設分野ではどのような職種で雇用が可能なのでしょうか?本記事では「技能実習」「特定技能」「高度人材」の各制度ごとに、外国人が従事できる建設職種をわかりやすく解説します。

1.外国人が建設業で働ける主な制度とは?

2.制度別にみる外国人が働ける建設職種一覧

3.雇用時に企業が確認すべきポイント

外国人雇用で建設現場の人手不足を解消するために

1.外国人が建設業で働ける主な制度とは?

建設業で外国人を雇用するには、在留資格に基づいた制度の理解が不可欠です。

主に「技能実習」「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」の3つの制度があり、それぞれ対象職種や求められるスキルが異なります。

制度ごとの特徴を正しく理解することで、適切な人材の受け入れと円滑な雇用管理が可能になります。

技能実習制度とは?目的と特徴を解説

技能実習制度は、開発途上国の若者に日本の技術や技能を習得させることを目的とした制度です。

実習生は日本の企業に一定期間受け入れられ、実際の現場で実務を通じてスキルを学びます。

建設分野では「型枠施工」「とび」「鉄筋施工」などの職種で受け入れが可能で、一定の条件を満たせば最長5年間の就労が認められます。

人材育成を通じた国際貢献を目的としつつ、日本国内の人手不足の緩和にもつながる制度です。

特定技能制度とは?即戦力人材の受け入れ枠

特定技能制度は、深刻な人手不足に対応するために2019年に創設された制度で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人を即戦力として受け入れることを目的としています。

建設分野では「型枠施工」「配管」「建設機械施工」など11分野18作業が対象となっており、特定技能1号では最長5年間の就労が可能です。

技能評価試験と日本語試験に合格する必要があり、技能実習修了者は試験免除となるケースもあります。

高度人材(技術・人文知識・国際業務)の在留資格

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、高度な専門知識や技術を持つ外国人が日本企業で働くための制度です。

建設業では、設計士、施工管理者、建設コンサルタント、CADオペレーターなどの技術職が対象となります。

大卒以上または同等の専門知識・実務経験が必要で、単純労働ではなく“ホワイトカラー職種”に限定されます。

専門性の高い人材を長期的に雇用できるため、企業の技術力向上や国際展開にも貢献する制度です。

2.制度別にみる外国人が働ける建設職種一覧

外国人が建設分野で働ける職種は、在留資格の制度ごとに明確に定められています。

技能実習、特定技能、高度人材の各制度に応じて、従事可能な作業内容や必要なスキルが異なります。

この章では、制度別に認められている具体的な建設職種を一覧で紹介し、企業が採用を検討する際の参考となる情報を整理します。

技能実習で認められている建設系職種とは?

■ 1. 技能実習制度(外国人技能実習制度)

技能実習制度で受け入れ可能な建設職種は 「職種+作業」単位 で定められており、以下のようなものがあります(一部抜粋):

建設関係の主な職種・作業(技能実習)

職種作業名
とびとび作業
型枠施工型枠工事作業
鉄筋施工鉄筋組立て作業
配管建築配管作業、プラント配管作業
建築板金ダクト板金作業
左官左官作業
タイル張りタイル張り作業
防水施工シーリング防水工事作業、アスファルト防水工事作業等
内装仕上げ施工プラスチック系床仕上げ工事作業等
石材施工石材加工作業、石張り作業
建設機械施工不整地運搬車運転作業等
コンクリート圧送コンクリート圧送作業
鉄工構造物鉄工作業
塗装建築塗装作業、鋼橋塗装作業
電気通信通信ケーブル接続作業等

技能実習制度では、実習生が日本の建設現場で技術を学び、母国の発展に役立てることを目的としています。

建設分野で受け入れ可能な職種は、法令で定められた特定の作業に限られており、「とび」「型枠施工」「鉄筋施工」「建設機械施工」「配管」「内装仕上げ」など17職種・22作業が対象です。

これらは実務経験を通じて技能の習得が可能な作業に限定されており、企業は認定された監理団体を通じて実習生を受け入れる必要があります。

特定技能1号で対応可能な18の作業分野

■ 2. 特定技能制度(特定技能1号)

建設分野の「特定技能1号」では、11分野・18作業 が対象とされています(国土交通省の指定)。

特定技能 建設分野の作業区分(2025年時点)

分野(業種)作業内容例
型枠施工型枠の組立・解体
鉄筋施工鉄筋組立て
とび足場組立、クレーン玉掛け等
左官壁・床の塗り仕上げ等
配管上下水道・ガスなどの配管
内装仕上げクロス貼り、床張り等
建設機械施工ブルドーザー等の運転
土工掘削、埋戻しなど
電気通信光ケーブル敷設・接続
建築大工木造建築の構築作業
屋根ふき屋根瓦葺きなど

補足:特定技能の対象になるには、技能評価試験と日本語能力試験(N4相当以上)に合格する必要があります。

特定技能1号では、建設業における深刻な人手不足に対応するため、外国人が就労できる18の作業分野が定められています。

対象となるのは「型枠施工」「鉄筋施工」「とび」「建設機械施工」「配管」「内装仕上げ」「左官」など、即戦力としての技能が求められる分野です。

外国人は技能評価試験と日本語能力試験(N4程度)に合格することで在留資格を取得でき、最長5年間の就労が可能です。

試験に合格すれば、技能実習を経ていない人でも受け入れが可能です。

技術系外国人材が従事できる専門業務とは?

■ 3. 高度人材(技術・人文知識・国際業務など)

「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格では、設計や施工管理、建築士、CADオペレーターなどの専門的な業務で外国人が就労可能です。以下のような職種が該当します:

  • 建築設計士(意匠設計・構造設計)
  • 土木技術者
  • 測量技術者
  • 建設プロジェクトマネージャー
  • 建設ITエンジニア(BIM/CAD)

まとめ:外国人が働ける建設職種一覧(制度別)

制度就労可能な職種例
技能実習型枠施工、とび、鉄筋施工、左官、塗装、内装仕上げ、建設機械施工、配管 等
特定技能型枠施工、鉄筋施工、配管、内装仕上げ、建設機械施工、電気通信、土工 等
技術・人文知識・国際業務建築士、設計士、土木技術者、施工管理、建設コンサルタント 等

技術・人文知識・国際業務の在留資格を持つ外国人は、建設業においても高度な専門性を要する業務に従事することが可能です。

たとえば、建築設計、構造計算、施工管理、土木設計、測量、建設関連のIT(BIM・CAD)業務などが該当します。

これらは単純作業ではなく、学歴(大学・専門卒)や実務経験を前提としたホワイトカラー職種であることが条件です。

国際化・高度化が進む建設業界において、技術系外国人材は企業の競争力強化に大きく貢献します。

3.雇用時に企業が確認すべきポイント

外国人を建設分野で雇用する際は、在留資格の種類や就労可能な業務内容を正確に確認することが重要です。

制度ごとに受け入れ条件や手続きが異なるため、事前に制度の理解と社内体制の整備が求められます。

また、労働条件や日本語能力、受け入れ後のサポート体制も事前に確認しておくことで、トラブルを防ぎ、安定した雇用につながります。

在留資格の種類と必要手続き

外国人を建設業で雇用する際は、まず在留資格の種類を正確に把握することが必要です。

技能実習、特定技能、技術・人文知識・国際業務など、それぞれの資格によって就労可能な職種や活動範囲が異なります。

在留資格取得のためには、申請書類の準備や必要な試験の合格、受け入れ企業の体制整備が求められます。

また、変更や更新手続きも適時行う必要があり、これらを怠ると法令違反となる恐れがあります。

適切な手続きを行うことで、安心・安定した雇用環境を築けます。

労働条件や技能水準の確認方法

外国人を建設業で雇用する際には、労働条件が日本人従業員と同等であることが法律で求められています。

給与や労働時間、休暇などの条件を明確にし、公正な待遇を提供することが重要です。

また、技能水準の確認は、技能実習や特定技能の場合、所定の技能評価試験や日本語能力試験の合格が必要となります。

企業はこれらの試験結果や実務経験を基に、適切な職務への配属を判断します。

定期的な評価や研修を実施し、技能向上を支援することも大切です。

これにより、安全かつ効率的な作業環境の維持につながります。

受け入れ後のサポート体制と法令遵守

外国人建設労働者を受け入れた後は、円滑な職場環境を維持するためのサポート体制が不可欠です。

具体的には、日本語教育や生活支援、労働安全衛生の指導などを行い、彼らが安心して働ける環境を整えます。

また、労働基準法や出入国管理法などの関連法令を遵守し、適正な労働条件を提供することが求められます。

法令違反があれば、行政指導や罰則の対象となるため、定期的な社内研修やコンプライアンス体制の強化も重要です。

これにより、企業の信頼性向上と安定した外国人雇用が実現します。

外国人雇用で建設現場の人手不足を解消するために

外国人雇用は、建設現場の深刻な人手不足を解消する有効な手段です。

制度の理解と適切な受け入れ体制を整えることで、技能や専門性を持つ外国人材を安定的に確保し、現場の生産性向上に貢献します。

制度理解と正しい対応が安定した雇用につながる

外国人を建設分野で安定的に雇用するためには、各制度の特徴や要件を正しく理解し、適切な対応を行うことが不可欠です。

技能実習や特定技能、高度専門職など制度ごとに在留資格や就労範囲、受け入れ条件が異なるため、誤った対応はトラブルや法令違反の原因となります。

企業は受け入れ前に手続きや労働条件を整え、受け入れ後も継続的なサポートや法令遵守を徹底することで、外国人労働者が安心して働ける環境を作り出せます。

これが長期的な人材確保と企業の成長につながります。

~外国人雇用から国際共生社会の実現を~

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