在留資格「特定技能」とは?|西東京市 湊行政書士事務所

在留資格「特定技能」とは?行政書士がサクッと解説!

外国人が就労出来る職種が増えました。この職種で就労して日本に滞在する場合、在留資格「特定技能」を取得します。行政書士が取次者として申請している今までの就労系の在留資格と異なるのは、手続に必要な書類が多くなる事です。また定期的に出入国在留管理局に届出をして就労状況の報告も必要になってきます。

1.在留資格「特定技能」とは?

2.在留資格「特定技能」の申請方法

3.特定技能で雇用する場合、法令厳守が鉄則!

「特定技能」で外国人雇用する意義

1.在留資格「特定技能」とは?

それまで外国人の就業が認められてなかった職種(主に製造業、外食業、宿泊業などで、より現場作業に近い)で就労する場合に取得するのが特定技能です。

特定技能の在留資格を取得した外国人は最大で5年間就労する事が出来ます。取得には、技能と語学の筆記試験に合格する必要があります。

在留資格「特定技能」創設の背景

中小・小規模事業者をはじめとした人手不足の業界に対応するため、一定の専門性・技能を有した外国人を即戦力として受入れるために在留資格「特定技能」が創設されました。

主な職種は現場作業に近いものを想定しています。また主たる業務と合せて行う場合に限り、日本人が通常従事する事とされている関連業務に従事する事が認められます。

例えば外食店に従事する場合、外食業全般(飲食物調理・接客・店舗管理)などが主たる業務として認められます。これに関連業務として原材料調達又は受入れ・配達作業なども行う事が出来ます。

在留資格「特定技能」で就労出来る職種は?

特定技能で就労出来る仕事は、特定産業分野に該当する職種です。しかし、単純にこの14分野に該当すれば良いのではなく、14分野の中の一定の業種に限定されています。

例えば素形材産業分野は14分野の一つです。その分野の鋳型製造業が該当します。鋳型製造業とは、けい砂により鋳造用鋳型・中子を製造する事です。つまり、鋳造用鋳型・中子を製造する事を業としている事業所に、その作業員として就労出来る事になります。

就労出来る職種は細かく規定されているので、雇用しようと考えている事業所は事前にしっかり確認する事が必要になってきます。

「特定技能」で外国人を雇用するには?

特定技能で雇用する為には、事業者が該当する職種で事業を行っている必要があります。事業としてしっかり実態が伴っているかなど、売上を基準に判断されます。

しかし、特定技能で外国人を雇用するには他にも満たさなければいけない要件があります。それは会社側は外国人の生活上の支援までしなければいけない事です。例えば、雇用する外国人が日本で住む住居の確保などしなければいけません。

また、外国人が十分理解出来る言語で相談を受ける体制なども整っていなければなりません。職場上だけでなく、生活上の面倒までしっかりと見る体制が整っていなければ、特定技能で雇用する事は出来ません。

2.在留資格「特定技能」の申請方法

申請は他の在留資格の申請と同じプロセスで行います。つまり、海外にいる人を雇う場合は在留資格認定証明書の交付申請をして日本に呼び寄せます。

日本国内にいる人の場合は在留資格変更許可申請書を提出します。しかし、他の就労系の在留資格と大きく異なるのは、申請書に添付する資料の数が大変多くなる事です。

在留資格「特定技能」許可申請に必要な書類

申請に必要な書類は多岐に渡りますので、一口にこれが必要だと言う事は出来ません。大まかなイメージで考えると、会社側と雇用される外国人側、双方が要件をしっかり満たしている事が確認出来る資料が必要になります。

なので会社の規模や業種、外国人の技術レベルなどによって必要な書類は異なってきます。場合によっては30種類以上の書類が資料として必要になります。

言い換えれば、そのくらい特定技能で雇用する場合、満たさなければいけない要件がたくさんあるということでもあります。

在留資格「特定技能」申請前に準備しておく事

外国人側では主に技能試験と日本語の語学試験に合格している必要があります。この試験は就労しようとする職種によって異なってきますので、事前にしっかり調べておきましょう。

会社側は、準備しなければならない事がたくさんあります。特に生活上の支援体制がしっかり整っているかが重要です。この支援体制にも細かな規定があります。具体的にどのような要件を満たしていれば支援体制が整っていると見なされるのか、しっかり調べておきましょう。

特に1号特定技能外国人支援計画を作成する事が重要です。この計画には雇用する外国人の具体的な支援内容を記載します。

在留資格「特定技能」は雇用後の届出が大切

特定技能で雇用した後、入管に定期的に届出をしなければなりません。主に四半期ごとに届出が必要です。支援実施状況や定期的な面談を実施した場合などに届出をします。

また外国人支援計画に変更が生じた際も届出が必要です。これらの届出をしなかった場合、欠格事由に該当して、場合によって今後5年間、特定技能で外国人を雇用出来なくなります。

他の就労系の在留資格と大きく異なるのはこの部分です。特定技能以外では雇用状況の届出をしなかった場合、罰金刑に処せられます。しかし、特定技能の場合、5年間も外国人を雇用出来ないというかなり重いペナルティが課せられる場合があるのです。

3.特定技能で雇用する場合、法令厳守が鉄則!

法令とは、主に労働関係法令です。労働基準法、労働契約法、最低賃金法、労働施策総合推進法、パートタイム・有期雇用労働法などが関係法令になります。これら法令は多岐に渡り具体的な細かな規定まで正確に覚えている人は少ないと思います。

しかし、これら法令の細かな規定までしっかり遵守していないと特定技能で雇用する事は出来ない事になっています。日本人、外国人を問わず全ての従業員に対して遵守している事が必要です。

届出違反で外国人雇用出来なくなることも!

先程も書きましたが、ちょっとした届出義務違反でも欠格事由に該当してしまいます。労働関係法令にも必要な届出はたくさんあります。税金関係、厚生年金・健康保険関係、雇用保険関係、労災関係などの届出もしっかりしなければいけません。

これら1つでも遵守してない状態で、特定技能で雇用した場合、不法就労助長罪が成立してしまいます。この場合も5年間、特定技能で外国人を雇用出来なくなります。

このようにかなり厳しい規定となっているので、特定技能で雇用する際は法律に詳しい専門家に顧問になってもらう事も考えましょう。

労働法の細かい規定まで注意しよう!

労働関係法令は上述のようにたくさんあります。これら労働に関する法令一般が対象となっているので、今まで日本人を雇っていたような感覚で、特定技能で雇用する事は大変リスクが伴います。

労働時間の管理、賃金の管理、労働環境の管理など日頃からしっかりとした管理体制が整っていないと、知らずに法令違反をしているかもしれません。

届出などの形式的な事だけでなく、実態として労働環境がどうであるのかをしっかり把握しておくことが重要です。悪い労働環境をそのままにしておくと様々なところに歪みが生じてきます。その場合いつの間にか法令に違反している事があるので注意が必要です。

登録支援機関に委託する事も出来る!

職場上の管理体制は会社が主体となって行う必要がありますが、生活上の支援体制は会社だけで行う事は大変です。そこで、登録支援機関にそれら外国人の生活上の支援の実施について委託する事が出来ます。

登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施の全てを委託すれば、会社は支援計画の適正な実施の基準を満たした事になります。中小企業などは積極的に登録支援機関に委託する事で負担を軽減する事が出来ます。

生活上の支援は、外国人からの相談対応、日本語教育の支援、日常生活に必要な情報提供、日本人との交流の促進など、本業とあまり関係ない分野のスキルが求められるので登録支援機関に委託した方が実務的にも有効かと思います。

「特定技能」で外国人雇用する意義

今まで日本で働く外国人は主に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でした。これは専門性を有する総合職のような職種を想定しています。この在留資格で働く外国人は一定のスキルが元々備わっているエリートが中心でした。

しかし、特定技能で働く外国人はもっと庶民的な人達を想定しています。その意味では今までの日本では行われていなかった取組みといえます。

今後の事業の展望を見据える

新しい取組みで外国人を雇用する事は、今後の日本社会にとっても大きな意味を持つことになります。庶民的な外国人がより現場に近い職種に従事するようになると、生活レベルで多くの外国人と接する機会が増えると思います。

違った文化を持つ人達を日本に受入れて共生していく事は簡単ではないかもしれません。しかし、多くの人達の協力を得て安全に日本人、外国人双方が日本で生活していく事が出来れば無限の可能性が見えてきます。

その意味では日本経済の発展にも同じように無限の可能性を見いだせるかは、多くの人達の協力にかかっているのかもしれません。

~外国人雇用から国際共生社会の実現を~