特定技能「飲食料品製造業分野」の中で外国人雇用が出来る事業とは?
以下は、「特定技能『飲食料品製造業分野』で外国人雇用ができる事業」として、日本標準産業分類(2013年改定・令和5年改定を踏まえ)における該当する4桁コードを整理した一覧表です。
日本標準産業分類(4桁)一覧:対象となる業種
コード | 分類名(4桁) | 説明・補足 |
0900 | 食料品製造業(中分類09) | 食料品製造業全般。畜産、水産、調味料、パン、菓子等多様な製造業を含む |
1010 | 清涼飲料製造業(小分類101) | ソフトドリンクなど清涼飲料水の製造を行う事業所 |
1030 | 茶・コーヒー製造業(小分類103) | 清涼飲料を除き、茶葉やコーヒー豆の加工・製造を行う業種 |
1040 | 製氷業(小分類104) | 氷の製造を行う事業所 |
5621 | 総合スーパーマーケット(細分類5621) | 食料品の製造も行う総合スーパー(製造を行うものに限る) |
5811 | 食料品スーパーマーケット(細分類5811) | 食料品を製造して販売するスーパー(製造を行うものに限る) |
5861 | 菓子小売業(製造小売)(細分類5861) | 菓子を製造し、販売も行う業種 |
5863 | パン小売業(製造小売)(細分類5863) | パンの製造販売を行う小売業者 |
5896 | 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業(細分類5896) | 豆腐・かまぼこ等加工食品を製造・販売する小売業(製造を行うものに限る) |
0919 | その他の畜産食料品製造業(細分類0919) | 食鳥処理や乾燥卵、はちみつなど、分類されない畜産関連製品の製造業 |
0929 | その他の水産食料品製造業(細分類0929) | 水産品の加工で缶詰以外など、分類外の水産関連製造業 |
0999 | 他に分類されない食料品製造業(細分類0999) | セントラルキッチンやプロセスセンターなど、その他に分類されない食品製造業 |
解説ポイント
- 中分類09「食料品製造業」(コード0900)は幅広い食品製造を対象とし、大分類の中心となります。
- 小分類101〜104 は飲料および氷の特定分野で、飲食料品製造業の中でも重要な業種です。
- 細分類の5621〜5896 は「製造小売業」に特化しており、製造を伴う小売業者として特定技能の対象となります。
- 0919, 0929, 0999 は、プロセスセンターやセントラルキッチンなど、少し特殊な製造形態を含む業種として、制度上対象に含まれている事が確認されています。
- 5621・5811は、店舗全体ではなく、あくまでバックヤードなど「食料品製造部門」に限って雇用が認められています。
1.特定技能「飲食料品製造業分野」とは
特定技能「飲食料品製造業分野」とは、深刻化する食品製造現場の人手不足に対応するため創設された在留資格です。
対象は工場やセントラルキッチン等での原材料処理、加工、調理補助、包装、出荷準備など幅広い業務で、外食店舗での調理は含まれません。
所定の技能試験と日本語試験に合格した外国人材が、即戦力として従事できる制度であり、企業にとっても安定した労働力確保の手段として注目されています。
制度の概要と導入の背景
特定技能「飲食料品製造業分野」は、国内の食品業界における人手不足を背景に設けられた制度です。
コンビニ弁当や惣菜、菓子、飲料など、日常的に消費される多様な食品の製造現場で人材不足が深刻化しており、外国人材の活用が求められています。
この制度では、一定の技能試験に合格した外国人が、即戦力として食品製造工程に従事できる仕組みが整備されています。
対象となる業務範囲
特定技能「飲食料品製造業分野」で外国人が従事できる主な職種・作業一覧
- 食肉製造業務
牛・豚・鶏などの食肉処理、カット、成形、パック詰めなど - 水産加工業務
魚介類の加工(切り身、冷凍、乾燥、缶詰など)、調味加工 - 野菜・果実加工業務
下処理、カット、漬物、ジャム、缶詰、冷凍食品の製造 - 惣菜製造業務
弁当、総菜、調理済み食品の盛付け、加熱、包装 - 冷凍食品製造業務
フライ製品、冷凍弁当、冷凍麺などの製造・包装 - 菓子製造業務
クッキー、ケーキ、和菓子、チョコレートなどの製造補助 - パン製造業務
パン、サンドイッチ等の製造・包装 - 調味料製造業務
醤油、味噌、ソース、ドレッシングなどの製造工程 - 飲料製造業務
清涼飲料、茶、コーヒーの製造、充填、包装 - 製氷業務
食用氷の製造・出荷準備 - その他の食料品製造業務
豆腐・かまぼこ・はちみつ・乾燥卵・セントラルキッチンでの製造作業など
ポイント
- 外食店での調理(レストランのキッチン業務など)は対象外
- あくまで 食品製造工場やセントラルキッチン等の製造現場 が対象
- 従事できるのは「食品の製造工程に直接かかわる業務」に限られ、販売や接客は含まれません
対象となるのは、原材料の下処理から加工作業、調理補助、充填、包装、出荷準備までの幅広い業務です。
日本の食品安全基準に基づいた衛生管理や品質保持のルールに従い、ライン作業を中心に携わります。
レストランや飲食店での調理は対象外で、あくまで工場や製造ラインでの食品製造業務が中心である点に注意が必要です。
外国人が従事できる作業の特徴
外国人が従事できる作業は、標準化されたライン工程に沿った反復業務が多い点が特徴です。
例えば、材料の計量や切断、調味料の配合、商品を容器に詰める作業などが含まれます。
これらは比較的習得しやすい一方、食品衛生の知識や規則を守る姿勢が不可欠です。
適切な教育やサポートを行うことで、外国人材が安定して業務を担える環境が整います。
2.外国人雇用が可能な具体的事業
特定技能「飲食料品製造業分野」では、食品工場やセントラルキッチンなどで外国人材の雇用が可能です。
対象となるのは、食肉や水産物、野菜の加工、惣菜や弁当、菓子、冷凍食品の製造、さらに飲料の充填や包装など、多岐にわたる業務です。
いずれもライン作業や衛生管理を伴う工程であり、標準化された作業に従事できるため即戦力として期待されます。

食品製造工場での加工・調理補助業務
食肉や水産物、野菜などの原材料を扱う工場では、加工や下処理、調理補助業務に外国人が従事できます。
例えば、魚の切り身加工や肉のスライス、野菜の下処理といった作業です。これらは正確さとスピードが求められるため、適切な訓練を受けた外国人材が現場で戦力となるケースが増えています。
飲料製造・充填・包装などのライン作業
飲料製造業では、原料の混合からボトル充填、キャップ締め、ラベル貼付といった一連の作業に外国人材が参加できます。
製造ラインはオートメーション化が進んでいますが、人手による確認や補助作業が不可欠です。
外国人スタッフの配置により、製造効率の維持と品質確保の両立が可能になります。
惣菜・冷凍食品・菓子製造といった多様な業態
惣菜工場では弁当や総菜の盛り付け、冷凍食品工場では揚げ物や調理済み商品の加工、菓子工場ではクッキーやケーキの製造補助などに外国人が従事できます。
幅広い業態で受け入れが可能なため、企業側は自社の業務に合った外国人材の活用を検討しやすい点が大きなメリットです。

3.受け入れ企業が押さえるべきポイント
外国人材を受け入れる企業は、まず労働条件の明示や衛生管理体制の整備を徹底することが重要です。
加えて、日本語教育や多言語マニュアルを活用し、円滑なコミュニケーションを図る工夫も求められます。
さらに、技能向上や資格取得を支援し、長期的なキャリア形成を示すことで、外国人が安心して定着しやすい環境を整備できます。こうした取り組みが雇用の安定と企業の発展につながります。
労働条件と安全衛生の確保
食品を扱う現場では、温度管理や衛生管理、作業手順の遵守が非常に重要です。
また、外国人材が安心して働けるよう、労働条件の明示や適正なシフト管理も欠かせません。
安全で清潔な職場環境を維持することが、従業員全体の定着率を高めることにつながります。
日本語教育や多文化対応の工夫
外国人材の多くは日本語に不慣れな場合があります。そのため、現場で使う指示をイラストや多言語マニュアルで補うなど、分かりやすいコミュニケーション方法を整備することが有効です。
また、文化や生活習慣の違いを理解する姿勢を企業が持つことで、チーム全体の協力体制が強化されます。

長期的な人材定着のためのキャリア支援
外国人材にとって、日本での就労がキャリア形成の一環となるように支援することも重要です。
例えば、技能試験合格へのフォローや将来的な技能実習から特定技能への移行支援などがあります。
キャリアパスを示すことで、従業員の意欲が高まり、長期雇用につながります。
制度理解と現場力向上が成功の鍵
特定技能「飲食料品製造業分野」での外国人雇用を成功させるには、制度を正しく理解し、現場の体制を整えることが欠かせません。
受け入れ企業は、労働条件や衛生管理のルールを守るだけでなく、教育体制や多文化共生への意識を高める必要があります。
制度に基づいた適切な運用と現場力の向上を両立することで、外国人材が安心して働き、企業も安定した人材確保と成長を実現できます。
外国人材と企業が共に成長する仕組みづくり
特定技能「飲食料品製造業分野」は、深刻な人材不足を補うだけでなく、外国人材と企業が共に成長できるチャンスを提供します。
制度の正しい理解に基づき、安全衛生や教育体制を整えることで、現場力の向上と安定した雇用が実現します。企業と外国人材の双方が安心できる環境を築くことが、長期的な成功の鍵となるでしょう。