風俗営業許可申請!注意するポイントを行政書士がサクッと解説

風俗営業の許可が必要な業種は実は色々あります。スナック・ジャズ喫茶・漫画喫茶・パチンコ・ゲームセンターなど色々なお店が対象になります。お店の営業形態によって許可の要件や必要書類も変わります。初めての人にはわかりにくい内容が多いですが、ポイントを絞って見ていくと理解しやすくなります。

1.風俗営業許可とは?

2.風俗営業許可をとる方法

3.風俗営業許可を取る時の注意点

まず、どんなお店を作りたいか考えよう

1.風俗営業許可とは?

風俗営業許可とはスナックなどの店員の接待が伴うお店、ジャズ喫茶などの照明を暗くして特別な趣を演出しているお店、漫画喫茶などの狭く区切られた部屋で飲食するお店などが取得する営業許可です。

また、パチンコ店やゲームセンターなどの遊技施設のあるお店も対象になります。飲食を提供する場合は事前に飲食店営業許可を受けておく必要があります。

接待が伴う飲食店は風俗営業許可が必要

飲食をしながら長時間店員が一緒に話しをする接待を伴った営業形態はスナック、キャバクラ、ホストクラブなどが代表的です。このようなお店は、店舗の1部屋の広さが16.5㎡以上で、照明の明るさが5ルクス以上である事が必要になります。またお店の外から客室を見通す事が出来ないようにお店を作る必要があります。

また、飲食物を提供するので調理場を設置して衛生面も気を配る必要があります。振動や騒音にも配慮してお客さんが安心して楽しめる空間を作る事が大事です。

他にもお店の構造や設備で細かな基準がありますので、しっかり確認しながらお店作りをしなければなりません。

照明が暗い喫茶店又は狭く区切られた飲食店

照明を暗くして独特の趣向こらしたお店はジャズ喫茶などがあります。有名な作家さんが若い頃営業していた事で知られますが、特別な演出をしてお客さんに特別な空間を楽しんでもらおうという目的があります。

照明が10ルクス以下の場合該当します。また、狭く区切られた飲食店は漫画喫茶などが代表的です。1部屋5㎡以下で他から見通す事ができない部屋で飲食やインターネット、読書を落ち着いた場所で楽しんでもらうお店です。照明は反対に10ルクス以上である事が必要です。

このようなお店はお客さんのニーズによって様々なサービスが提供出来るので運営者のアイデア次第だと思います。但し、最低限法令で決められた基準は守ってお店作りをしましょう。

パチンコ、ゲームセンターも風俗営業許可が必要

お店に遊技施設を設置する場合も風俗営業許可が必要になります。主にパチンコ屋やゲームセンターが該当します。

パチンコ店はお客さんに射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業とみなされます。店内には賞品を提供する設備を設ける事が必要とされます。パチンコ店の場合パチンコ台やスロット台以外の遊技施設を置く事が出来ません。

ゲームセンターはゲーム機で、本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技を備える店舗とみなされます。ダーツバーなども該当します。パチンコ店との違いは賞品を提供しない事です。純粋にゲームを楽しむお店という事です。どちらも安全に楽しく遊技をしてもらえるように店舗の構造には一定の基準があります。

 接待飲食照度(lx)客室床面積
スナック等5超2室以上の場合、各16.5㎡以上
ジャズ喫茶等×5超 10以下5㎡以上
漫画喫茶等×10超5㎡以下
パチンコ店×10超制限なし
ゲームセンター×10超制限なし

2.風俗営業許可をとる方法

風俗営業許可の申請先はお店の所在地を管轄する警察署です。申請にはお店の周辺略図、平面図、求積図など実に様々な書類が必要になります。

実際に店舗周辺に行って営業可能地域か調査をしなければいけません。図面の書き方なども決まりがあるので、はじめての人が一人で申請するのは難しいので専門家と一緒に確認しながら進めた方が良いと思います。

営業できる場所は決められている

営業出来る場所は学校や図書館、病院などの保護対象施設が原則周囲100m以内にない場所に限定されます。これらの建設予定地も営業出来ません。なので実際に足を運んで細かく調べる必要があります。

他にも都市計画法や建築基準法などの関係から営業出来ない地域があります。営業所周辺略図を作成するにはゼンリンの「住宅地図」を利用します。地図を入手したら営業予定地の周囲100m以内を調べて保護対象施設がないか調べます。

現地調査をして保護対象施設がない事を確認して周辺略図を作成します。もし、調査の過程で迷ったら管轄の警察署に確認しましょう。関係資料を持って事前に相談に行くとよいと思います。

申請にはお店の平面図が必要

お店の真上から見た平面図には入り口、テーブル、椅子、カウンター、調理場など必要な事項を記載します。平面図には営業所の縦、横の長さも記載します。営業所の面積を計算する場合、壁の内側から測るので、壁の内側からの長さを記載します。

その他、調理場、カウンター、壁の厚さ、物入れの長さなど必要と思われる部分の長さは念のため測っておきましょう。音響、照明器具の設備図も作成します。これらの種類と明るさ、設置位置などを記載します。

共用部分は営業所に含まれないので、面積を求める時、エレベーターやベランダなどは除外します。

お店の面積を測って求積図を作る

お店の広さを測って面積を出します。営業所全体、客室、調理場の面積を計算します。長さの基準は壁の内側からです。かなりの長さになるので、レーザー測定器があると便利です。専門家であればほとんどの人が持っているのでレーザー測定器で正確に距離を測りましょう。

距離を測ったら面積を出します。営業所面積、客室面積、調理場面積、その他面積をそれぞれ計算して求積表にまとめます。これら営業所の周辺略図、平面図、求積図はお店の種類に関わらず必要になります。

3.風俗営業許可を取る時の注意点

風俗営業許可の申請はお店が完成した後に出します。もしお店が必要な基準を満たしていないと申請が許可されず、またお店を作り直さなければなりません。

せっかく作ったお店が営業禁止区域だった場合、作り直す事も出来ないので、風俗営業許可申請はミスが許されないと思った方が良いでしょう。事前にしっかり調査、確認をして、ミスがないように手続をしましょう。

風俗営業許可申請はお店が完成してからする

お店が完成してから申請を出すので、お店作りの段階から慎重に準備しなければいけません。風適法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)だけでなく建築基準法や都市計画法、消防法など他の法律も複雑に関係してくるので、事前にしっかり確認しましょう。

営業予定地が営業可能地域かどうかの確認だけは、事前に警察署にした方が良いと思います。そして、申請した後に実際に調査員が現場に来てお店を調べます。図面通りに椅子等が配置されているか、必要な看板やメニュー表、料金表があるかなどです。

調査員が来る前に、明日からでもすぐ営業出来る位までしっかり準備しておきましょう。

深夜0時以降は接待を伴った営業はできない

現状の法律では深夜0時以降は接待を伴った営業は出来ません。もし、深夜0時以降もお酒を提供して営業する場合、「深夜における酒類提供飲食店営業」の届出をする必要があります。しかし、接待はできません。単にお酒を提供出来るだけになってしまいます。

深夜も空いている居酒屋は届出する必要があります、また、カラオケボックスも深夜にお酒を提供する場合は届出る必要があります。

また、ナイトクラブなど深夜に遊べるお店は「特定遊興飲食店営業」の許可を取得する必要があります。この場合も接待は出来ませんが、酒類の提供は出来ます。

性風俗関連特殊営業は届出が必要

性風俗関連特殊営業とはソープランド、ファッションヘルス、個室ビデオ、ラブホテルなどの営業をするお店です。これらのお店は届出をする必要があります。

但し、店舗型性風俗特殊営業はほとんどが営業禁止エリアになっています。東京都の場合、台東区のごく一部の地域以外営業できません。それ以外の地域で営業しているお店は既得権で営業していることになります。

無店舗型性風俗特殊営業のお店は禁止エリアの規制が少ないので近年急激にその数を増やしています。

まず、どんなお店を作りたいか考えよう

風俗営業許可は細かい規制が多くてお店を作るだけでも大変です。それらの規制全てを把握するのは大変です。

お店をはじめるには、まず、自分がどんなお店を作りたいかを考えましょう。せっかくお店を作ってもお客さんが来てくれなければ意味がありません。まずは自由な発想で自分が作りたいお店を思い浮かべてみましょう。

細かい規制は専門家や管轄の警察署に聞いて確認しよう

営業可能エリアを調べる場合、専門家と一緒に確認しましょう。色々な法律が関係してくるので、それら全てを自分だけでするのは大変です。

また、お店を作る際も同様に協力して進めていきましょう。もし、最初にイメージしたお店が法令上難しいようだったら少しお店の作りを変えてもよいと思います。専門家と協力しながら、場合によっては管轄の警察署に確認をとりながら慎重に進める事が大切です。

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