特定技能の「素形材産業分野」の中で外国人雇用が出来る事業とは?

特定技能制度における「素形材産業分野」では、主に製造業の中でも金属加工や鋳造、溶接、機械加工などに関連する業種で外国人の受け入れが可能とされています。以下に、「素形材産業分野」で外国人の雇用が可能な事業を、日本標準産業分類の4桁コード付きで一覧にしてご紹介します。

1.素形材産業分野とは何か?その定義と背景

素形材産業分野とは、鋳造・鍛造・溶接などの加工を通じて金属や素材の「かたち」をつくる基盤産業です。

自動車や建設、機械分野など幅広い業界を支える重要な役割を担っており、近年は深刻な人手不足から外国人材の活用が期待されています。

素形材とは?金属加工や鋳造を支える基盤産業

素形材とは、金属などの材料を鋳造・鍛造・プレス・溶接などの加工によって、製品や部品の「かたち」をつくる素材のことを指します。

自動車、建設機械、産業用機械など、さまざまな製品の基礎となる部品を支える重要な役割を果たしており、「ものづくり日本」の根幹をなす分野といえます。

大量生産や高精度な加工が求められる中で、素形材産業は技術力の高さが問われる現場でもあり、熟練工の減少が深刻な課題となっています。

なぜ人手不足?外国人材受け入れが求められる背景

素形材産業では、高度な技術や経験を必要とする作業が多く、長年にわたり熟練工によって支えられてきました。

しかし近年、少子高齢化の進行により若手人材の確保が困難になり、技能継承も進まないという深刻な人手不足に直面しています。

このような背景から、一定の技能を持ち、日本語での基本的なコミュニケーションが可能な外国人材の受け入れが現場の即戦力として強く求められています。

安定した生産体制の維持には、外国人の力が不可欠となりつつあります。

特定技能制度の概要と素形材産業との関係

特定技能制度は、深刻な人手不足が続く産業分野において、即戦力となる外国人材を受け入れるために創設されました。

素形材産業分野は、高度な技能を要する鋳造や鍛造、溶接などの作業が多く、熟練工の減少による人材不足が課題となっています。

特定技能制度では、技能評価試験と日本語能力試験をクリアした外国人が1号特定技能資格を取得し、これらの現場で働くことが認められています。

これにより、産業の技術継承と生産力維持が期待されています。

2.外国人が働ける対象業種一覧【日本標準産業分類付き】

🔧 素形材産業分野での外国人雇用が可能な事業(JSICコード付き)

日本標準産業分類コード(4桁)業種名
2411鋳造業(鉄鋳物、非鉄金属鋳物など)
2412鍛造業
2413金属熱処理業
2414溶接業
2415ろう付業
2416鉄骨・鉄塔製造業
2419その他の金属製品製造業(素形材関連)
2421金属素形材製造業(鋳造品、鍛造品など)
2431金属加工機械製造業(旋盤、フライス盤など)
2432金型・治工具・その他附属品製造業
2441金属表面処理・塗装業
2442メッキ業
2443金属熱処理業(再掲)
2451金属製品製造業(ねじ、ボルト、ナット等)
2452配管継手・バルブ製造業
2453建築用金属製品製造業(手すり、階段、金属扉など)
2454その他の金属製品製造業

💡補足

  • 実際に「素形材産業分野」で特定技能外国人を雇用するには、上記業種のいずれかに該当する事業所であることに加えて、外国人に従事させる業務内容が該当職種(例:鋳造、鍛造、仕上げなど)に適合していることが必要です。
  • さらに、業種と職種の組み合わせが技能実習2号の移行対象職種に準じているかどうかも、受入可否の判断材料になります。

鋳造・鍛造・溶接など主な受け入れ業種とは

素形材産業分野では、特定技能制度により外国人が従事できる業種として、主に「鋳造」「鍛造」「溶接」「仕上げ」「機械加工」「表面処理」「検査」などの工程が認められています。

これらはいずれも金属素材を加工し、部品や製品の基盤をつくる重要な作業です。

特に鋳造・鍛造は高温・高負荷な現場であり、溶接や仕上げは高度な技術と集中力が求められます。

熟練工の減少を背景に、これらの工程で外国人材の受け入れが進められています。

日本標準産業分類(4桁コード)で見る対象事業

素形材産業分野で外国人雇用が認められている事業は、日本標準産業分類の4桁コードで明確に区分されています。

例えば、鋳造業(2411)、鍛造業(2412)、溶接業(2414)、金属表面処理業(2441)などが該当します。

この分類により、どの業種が特定技能の受け入れ対象かを把握しやすく、企業の受け入れ準備や労働内容の適合性確認に役立ちます。

分類コードは行政手続きや許認可の際にも重要な基準となります。

業務内容と職種の具体的なマッチング事例

素形材産業分野では、業務内容ごとに求められる職種が明確に定められており、特定技能制度の対象となる職種と実際の作業が適切にマッチングされています。

例えば、「鋳造業」では金型準備や溶解、鋳込み作業が主な業務であり、「仕上げ」ではバリ取りや研磨などが該当します。

また、「溶接業」では各種溶接作業が中心で、これらの職種は技能評価試験や日本語試験の基準にも反映されています。

正確なマッチングにより、外国人材の専門性を活かした効率的な人材活用が可能です。

3.外国人雇用の要件と申請に必要な準備

素形材産業分野で外国人を雇用するには、受入企業が特定技能所属機関としての登録・認定を受ける必要があります。

加えて、雇用予定者は技能評価試験と日本語能力試験を合格し、特定技能1号の在留資格を取得していることが条件です。

企業は、労働条件の明示や生活・就労支援体制の整備、受入計画書の作成と提出など、法令に基づく準備を行う必要があります。

これらの手続きは出入国在留管理庁に申請し、認定されて初めて雇用が可能となります。

適切な準備が安定した外国人雇用の鍵です。

受入企業が満たすべき条件とは?

特定技能外国人を受け入れる企業は、安定した雇用環境の提供が求められます。

具体的には、適切な労働条件の確保(賃金、労働時間など)、安全衛生管理体制の整備、そして日本語でのコミュニケーションが可能な支援体制の構築が必須です。

また、外国人が安心して生活できるよう、生活面での相談窓口や住居確保の支援も重要です。

さらに、違法な労働を防止するため、法令遵守や定期的なフォローアップも求められます。

これらの条件を満たすことが、受入認定の前提となります。

技能評価試験と日本語能力の基準

特定技能1号の取得には、対象分野に応じた技能評価試験の合格が必須です。

素形材産業分野では、鋳造・鍛造・溶接などの実務に即した技能を測定する試験が実施されます。

また、日本語能力については、日常会話レベルの日本語能力試験(日本語能力試験N4相当)や、それに準ずる評価が求められます。

これらの基準を満たすことで、外国人労働者は安全かつ効率的に業務を遂行できることが期待されます。

技能と日本語の両面での評価は、受入れ企業の安定運営にも寄与します。

必要書類と提出先—認定計画の手続き流れ

特定技能外国人を受け入れる際、企業は「特定技能受入計画書」を作成し、出入国在留管理庁へ提出して認定を受ける必要があります。

必要書類には、受入企業の概要や労働条件、安全衛生対策、生活支援体制の詳細を記載した計画書のほか、事業所の登記簿謄本や雇用契約書の写しなどがあります。

提出後、審査を経て認定が下りれば、外国人の在留資格変更や新規申請手続きに進めます。

手続きは正確かつ期限内に行うことが重要です。

素形材分野での外国人雇用は中小企業の力に

素形材産業は中小企業が多くを占めるため、外国人材の受け入れは人手不足解消と技術継承の大きな力となります。

特定技能制度を活用し、即戦力の外国人労働者を受け入れることで、生産性向上や企業の持続的発展につながります。

中小企業の競争力強化に欠かせない重要な取り組みです。

人材確保と技術継承の両立を目指すために

外国人材の受け入れは素形材産業の深刻な人手不足を補う重要な手段ですが、それだけでは技術の継承は十分とは言えません。

企業は外国人労働者が日本の高度な製造技術を理解し習得できるよう、計画的な教育・研修プログラムを整備する必要があります。

また、日本人の熟練技術者と外国人材が互いに知識や技能を共有し合う環境づくりも不可欠です。

こうした取り組みにより、人材確保と技術継承の両立が実現し、企業の持続的な成長と競争力強化につながります。

安全面やコミュニケーションの配慮も含めた総合的な支援体制の構築が求められます。

~外国人雇用から国際共生社会の実現を~

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