建設業の「とび」職で特定技能で外国人雇用する方法
特定技能制度において、建設業で外国人を雇用している職種の中で、最も多くの外国人が従事しているのは 「とび」職 です。働く外国人は「とび」職種に対応する技能試験および日本語能力試験(N4以上)が必要です。これらの技能があれば「特定技能1号」での受け入れが可能で、最長5年まで在留が認められます。
1.特定技能制度と「とび」職の基本を理解しよう
2.「とび」職で外国人を雇用するための手順
3.雇用後に気をつけるポイントと支援体制
外国人と共に成長する建設現場を目指して
1.特定技能制度と「とび」職の基本を理解しよう
特定技能制度は、日本の深刻な人手不足を補うために導入された在留資格制度です。
「とび」職はその中でも特に外国人の受け入れが進んでいる分野で、高所作業や足場の組立・解体など建設現場に欠かせない技能を担います。
本見出しでは、制度の概要と「とび」職の仕事内容、必要なスキルについてわかりやすく解説します。
特定技能制度とは?制度の概要と背景
特定技能制度とは、日本の深刻な人手不足に対応するために2019年に創設された在留資格制度です。
介護、建設、農業など14分野において、一定の技能と日本語能力を有する外国人が最長5年間就労できる仕組みです。
制度の背景には、少子高齢化に伴う労働力不足と、即戦力となる外国人材の受け入れニーズの高まりがあります。
特に建設業では、経験を積んだ技能実習生からの移行が多く、制度活用が急速に進んでいます。

「とび」職とは?仕事内容と求められる技能
「とび」職とは、建設現場において足場の組立・解体、高所での資材の運搬・設置などを行う専門職です。
作業の多くが高所で行われるため、安全性とチームワークが非常に重要とされます。
また、迅速かつ正確な作業が求められるため、一定の体力と現場での判断力も必要です。
特定技能での就労を目指す外国人には、これらの作業に対応できる基本的な技術力と、日本語での基本的なコミュニケーション能力が求められます。
「とび」職が外国人に人気な理由とは?
「とび」職が外国人に人気な理由は、まず技能実習から特定技能へと移行しやすい職種であることが挙げられます。
すでに実習で経験を積んだ人材にとって、スムーズに在留資格を切り替えられる点が大きな魅力です。
また、建設業界では常に人手不足が続いており、安定した雇用と比較的高い賃金が期待できる点も支持されています。
さらに、手に職をつけることで将来的なキャリアアップや母国での活躍を目指す人にも適した職種です。
2.「とび」職で外国人を雇用するための手順
「とび」職で外国人を雇用するには、特定技能に関する制度理解と正しい手続きが不可欠です。
受け入れ可能な人材の条件や必要な試験、企業側の準備事項、在留資格取得までの流れを把握することで、スムーズな雇用が実現できます。
本見出しでは、雇用開始までの具体的なステップをわかりやすく解説します。

受け入れ可能な外国人の条件と必要な試験
「とび」職で外国人を雇用するには、まず特定技能1号の在留資格を取得していることが必要です。
この資格を得るには、国が指定する「建設分野特定技能評価試験(とび)」に合格すること、または技能実習2号を良好に修了していることが条件です。
さらに、日常会話レベルの日本語能力を証明するために「日本語能力試験(N4以上)」または「JFT-Basic」に合格している必要があります。
これらを満たすことで、受け入れ対象となる外国人となります。
企業として必要な登録と準備とは?
外国人を特定技能で「とび」職に雇用するためには、企業としていくつかの重要な登録と準備が必要です。
まず、建設特定技能受入計画を作成し、国土交通省の確認を受ける必要があります。
また、受け入れ企業は「建設キャリアアップシステム(CCUS)」への登録が義務づけられており、外国人労働者の就労状況を適切に管理する体制が求められます。
さらに、法務省に「登録支援機関」として登録するか、もしくは外部の登録支援機関と契約し、外国人に対する生活支援や日本語学習支援などを行う体制を整えなければなりません。
加えて、労働条件通知書や雇用契約書の作成も正確に行う必要があります。
外国人支援計画の策定や、生活・労働支援体制の整備も必要となります。
雇用契約と在留資格認定の流れ
外国人を「とび」職で特定技能として雇用する際は、まず受け入れ企業が労働条件を明記した雇用契約を締結します。
その後、必要書類をそろえて「在留資格認定証明書交付申請」を出入国在留管理庁に提出します。
交付された証明書は、外国人本人が在外日本大使館等を通じてビザを取得する際に使用されます。
来日前後には、生活支援計画に基づくオリエンテーションや日本語支援の実施も必要で、円滑な就労スタートを支える体制が求められます。

3.雇用後に気をつけるポイントと支援体制
外国人を「とび」職で雇用した後は、就労環境の整備と適切な支援体制の維持が重要です。
特定技能制度では、外国人が安心して働けるよう、生活支援・労務管理・相談対応などを継続的に行う必要があります。
例えば、日本語学習の支援や、住居・銀行口座・携帯電話の開設サポートなどが含まれます。
また、定期的な面談を通じて職場での悩みや課題を把握し、長期的な定着につなげる工夫も欠かせません。
受け入れ後の労務管理と日本語支援
外国人を「とび」職で受け入れた後は、適切な労務管理と日本語支援が重要となります。
労働時間や休憩、残業の管理はもちろん、日本人従業員とのコミュニケーションを円滑にするための日本語教育も欠かせません。
特定技能制度では、受け入れ企業または登録支援機関が、日本語学習の機会を提供することが求められています。
職場でのトラブルやストレスを防ぐためにも、定期的な面談や生活面のフォローアップが効果的です。
定期報告と制度上の義務について
特定技能で外国人を雇用する企業には、定期的な報告義務があります。
受け入れ状況や労働環境、支援計画の実施状況などを国や入管に提出することで、適正な運用が確保されます。
また、外国人の生活支援や日本語教育の提供も義務付けられており、これらを怠ると監督指導や最悪の場合、受け入れ停止の措置が取られることもあります。
制度の透明性と信頼性を維持するために、義務を遵守することが重要です。

長期雇用を見据えたキャリア支援
特定技能で受け入れた外国人労働者の長期雇用を目指すには、キャリア支援が欠かせません。
特定技能1号は最長5年の在留期間ですが、一定の技能を習得すると特定技能2号への移行が可能で、家族帯同や無期限の在留が認められます。
企業は技能向上のための研修や資格取得支援、日本語力向上のサポートを提供し、労働者の成長と定着を促すことが重要です。
これにより、双方にとって安定した関係構築が期待できます。
外国人と共に成長する建設現場を目指して
外国人労働者と共に働くことで、多様な技術や文化が建設現場に新しい風をもたらし、生産性や技術力の向上が期待できます。
適切な受け入れ準備や継続的な支援体制を整えることで、外国人が安心して長く働ける環境を作ることが重要です。
こうした環境づくりが、企業と労働者双方の成長につながり、持続可能な建設業界の発展を支える基盤となります。
適切な準備と支援で、安定した雇用と現場力向上を実現しよう
特定技能外国人を「とび」職で雇用するには、制度の理解と適切な準備が欠かせません。
まず、必要な試験合格者の選定や受け入れ体制の整備、雇用契約の適正な締結が重要です。
さらに、日本語支援や生活サポートを充実させることで、外国人労働者が安心して働ける環境を提供できます。
こうした取り組みが、労働者の定着と技能向上につながり、結果的に現場の生産性や安全性を高めます。
企業と外国人が共に成長できる環境づくりが、安定した雇用の実現には欠かせません。