著作権登録について行政書士がサクッと解説!

最終更新日

自分で作った創作物には自然と著作権が発生します。文章、絵、図、歌詞、音楽、写真、映画、プログラミングなどの表現物は著作物です。しかし、自分の作品と証明するには著作権登録する必要があります。著作権登録して自分の作品と認められればビジネスに活かせる場合もあります。

1.著作権とは?

2.著作権登録の方法

3.著作権登録してビジネスに活かそう!

簡単なアイデアは著作権登録するのがお勧め

1.著作権とは?

著作権とは、作品を創作した者が、その作品をどのように使用するか決める事が出来る権利です。そして、この権利は作品を創作した時点で自然に発生します。

創作者が作成した物を著作物といい、創作した者を著作者といいます。主に、文章、音楽、美術、写真などの思想、感情を表現した物が著作物にあたります。

アイディアは自分で守ろう!

著作権登録するとどうなるの?

著作権は創作と同時に自然に発生するので、著作権登録をしても意味がないと思う人も多いと思います。自分が創作した文章は作成した時点で自分に権利が付属します。自由に使用出来るのでわざわざ著作権登録をしなくてもよいのですが、場合によっては著作権登録しておいた方が良い場合があります。例えば、以下の著作権登録制度があります。

「実名の登録」・・実名で登録すると、著作者の死後70年まで権利が存続します。実名で登録しないと著作権は著作物の公表後70年で消滅します。なんらかの理由で実名を公表したくない人は実名の著作権登録をすると権利を長く持つことが出来ます。

「第一発行年月日等の登録」・・登録すると創作日時を証明する事が出来ます。誰が先に作ったかで争いがある場合、登録しておけば、証拠とする事が出来ます。

「著作権の移転の登録」・・著作権は他人に譲渡する事が出来ます。譲渡したかどうかを公に認めてもらうには著作権の移転の登録をする必要があります。もし自分の作品を高く買ってくれる人がいた時、著作権の移転の登録をしていなければ、二重譲渡の問題があった時トラブルになる場合があります。移転の登録をしておけばこのような問題はなくなります。

著作権の対象となる著作物は?

著作権の対象の著作物は主に、言語、イラスト、音楽、美術、建築、写真、映画などです。そしてこれらの著作物は、無断で利用してはいけません。著作権者の許諾が必要です。

著作物には複製権、放送権、演奏権、展示権、上映権、翻訳権など無断で使用できないように様々な権利が付いています。もし第三者が利用する場合、使用のための許可と使用料金が必要になります。著作物が自分の作品であると証明するには、原稿や下書きなどを残しておいて利用するとよいでしょう。

著作権と特許権との違いは何?

特許権は登録を受ける事により初めて権利が発生します。また特許権は技術的創作のうちで程度の高いものをいうと考えられています。取得するには時間と費用がかかります。時間は1年以上かかりますし、費用は10万円以上かかります。

一方著作権は映画や絵画、彫刻のような美的な表現と感性に訴える作品であると考えられています。権利は作成と同時に発生し、登録に必要な費用も数千円程度です。

また、特許権は技術的創作の保護のために、権利者に強い独占権が与えられていますが、著作権は表現の保護を対象としているので権利の独占性は低くなります。

2.著作権登録の方法

著作権登録は文化庁にします。目的に合わせて登録申請書と添付資料を提出します。著作権登録の審査は形式審査で行い、法令に従った方式により申請されていればよいとされています。申請内容の実体までは審査しないので、本当にその作品に権利の移転があったかどうかとか、その日に第一発行がなされたかどうかまでは審査しません。

文化庁へ著作権登録申請書を提出する

著作権登録申請書の様式は文化庁のホームページからダウンロード出来ます。用紙はA4の大きさで左とじします。用紙の余白は左右上下に各2㎝にします。使用言語は日本語ですが、外国語の固有名詞(氏名、地名など)はローマ字を用います。添付資料は外国語で書かれたものには、翻訳文を添付します。

文化庁のホームページから著作権登録の手引きがダウンロード出来るので参考にしながら作成すると良いでしょう。

登録免許税がかかるのですが、申請内容によって金額が異なります。収入印紙を購入して申請書の左上に貼付して納付します。

実名で著作権登録する方法

実名で著作権登録するには、著作物が、無名又は変名(ペンネーム)で公表されていなければいけません。申請者は著作者又は著作者が死亡している時は遺言で指定された者とされています。

登録されると、法律上、登録された者が著作物の著作者と推定されます。実名登録すると著作者の死後70年間著作権が保護されます。なんらかの理由で実名を公表したくない人は、この方法で実名登録をする事が可能となります。

実名を公表する事に特に支障がない人は著作物に実名を記載しておけばよく、わざわざ実名の著作権登録をしなくても同じ期間、著作権が保護されます。

第一発行(公表)年月日の著作権登録

著作物の発行年月日に争いがある場合、登録をすれば、登録された年月日に著作物が発行されたという証拠にする事が出来ます。この場合反論がない場合、法律上、登録された年月日が発行日であると推定されます。

創作日時が証明できれば、どんなに無名の人でも登録と同時に著作権を主張出来ます。登録するには著作物を公表した日を客観的に示す資料を添付します。50人以上が著作物を見たり聞いたりした資料、例えば受領書や展示証明書などがあれば良いとされています。

しかし、登録がなくても発行された事実を証明する資料があれば、相手方に反論する事は出来ます。第一発行年月日の著作権登録はあった方がよいですが、なくても必ずしも相手方が正しいという事にはならないのです。

3.著作権登録してビジネスに活かそう!

著作物は創作と同時に自動的に著作者に権利が発生するので、創作物に一定の価値があればビジネスに活かす事が出来ます。著作権を上手に使って、ビジネスに活かす方法は色々あります。もっとも一般的なのは、権利を譲渡してその対価として一定の報酬を得ることです。

著作権を移転して対抗要件を備える

自分の創作物を買ってくれる人がいたら、著作権の移転の登録をするとよいでしょう。簡単な文章やイラストなども商品になる時代です。それらが二重に譲渡されると、どちらに権利があるのかわからなくなり問題になります。

このような時は著作権の移転の登録をしておくと登録名義人が著作権を持っていることになります。それほど高度な発明や創作でなければ沢山著作物を作る事が出来ます。多くの人に自分の作品を売ると、同時に複数の人に著作権が譲渡されてしまうことが起こりえます。

権利関係をはっきりさせる意味で著作権の移転の登録をしておくとトラブルの防止に役立つでしょう。

歌手には著作隣接権がある

著作隣接権というのは、例えば、ある楽曲が売れた時、作詞作曲をした人にその楽曲の著作権がありますが、その楽曲を持ち歌として歌った歌手にも一定の権利を保障して印税などをもらえるようにしたものです。

歌が売れる場合、曲の良さだけでなく歌手の歌唱力も大きな要素となります。法律はこのような著作隣接権を認めて一定の権利を与えています。

サービス産業は多くの人が関わって1つの作品を作っている場合がほとんどです。その作品に関わった人達は著作隣接権によって一定の報酬を得る権利があるのです。

文章や写真で自分のアイデアを守ろう!

写真やイラスト、音楽、絵画など、これらの作品は創作時はあまり価値が認められていない場合がありますが、ある時、突然人気がでて、商品として売れるようになるかもしれません。

そのような時、あらかじめ写真にとって公表しておくと、著作権を主張出来る場合があります。簡単な説明文も付けておけばより具体的に著作物として主張出来ます。もし第三者がその著作物を利用する場合、使用のための許可と使用料金が必要になります。

思想や感情の創作は著作権になるので、面白いと思ったアイデアは写真にとって、説明文も付けておけば後日なにかの役に立つかもしれません。

簡単なアイデアは著作権登録するのがお勧め

簡単なアイデアは高度な技術的創作としては認めてもらえないので特許権は取れないかもしれません。また、技術的に未熟なアイデアはそれほど大きな価値を生むことはないのでわざわざ特許権を取得する必要性はないかもしれません。

しかし簡単なアイデアは部分的には様々な商品開発の基礎になっている場合もあります。自由な発想から生まれた創作が何かの役に立つ事もあります。社会の何かに役立てるという気持ちで創作した物をネットなどで公表するだけでも、後日なんらかの価値を生んでくれるかもしれません。

「自分で創作した物には著作権がある」という事を知っているだけでも創作意欲が湧いて様々な事に役立つかもしれません。

seref34fd

シェアする