永住許可申請について行政書士がサクッと解説!
外国人が日本にずっと住み続けるには、永住許可を取得する必要があります。永住許可を取得すれば、日本での活動制限がなくなるので、今までよりも自由に生活する事が出来ます。永住許可申請の手続をはじめるには、まず、要件を満たしているかが重要です。永住許可取得の手続方法と必要な要件をわかりやすく解説します。
1.永住許可を取得するとどうなるの?
2.永住許可申請の方法
3.永住許可取得には日本での生活実績が大事
永住許可取得後も外国人である事には変わりない
1.永住許可を取得するとどうなるの?
永住許可を取得すると、外国人のまま日本にずっと住み続ける事が出来ます。
今までは仕事内容や身分関係で一定の活動制限のある中で生活していた外国人も、活動制限なく日本に住む事が出来ます。
日本で暮らす上で選択肢が増えるので、より快適に日本で生活する事が出来るようになります。
日本で活動制限がなくなる
具体的にどのように制限がなくなるのかというと、例えば就労系の在留資格で滞在していた場合、仕事を自由に選べるようになります。
今まで就労出来る職種が限られていたと思いますが、日本人と同じように仕事選びが出来るようになります。アルバイトやパート、派遣労働、単純労働に従事する事が出来るようになります。就労する際の手続も今までよりずっと簡素になります。
転職する際、就労資格証明書を取得する事があったと思いますが、このような手続も必要なくなります。
在留資格の更新が不要
今まで取得していた在留資格は在留期限がありましたが、永住者には在留期限がありません。在留期限がないので更新手続をする必要もありません。
また、各在留資格にはそれぞれ認められた活動を実際に行っている事が必要です。例えば国際結婚して「日本人の配偶者等」の在留資格を取得したら、配偶者として活動を継続して行っていなければなりません。もし継続して6ヶ月間、配偶者としての活動を行っていなければ在留資格の取消しの対象になります。
永住許可には特定の活動が義務づけられていないので、取消しの対象になりにくいのが利点といえます。
海外に出国する時は注意しよう!
永住者でも外国人である事に変わりありません。通常、外国人が海外に行くとき、その期間が1年を超える場合、出国時に再入国許可を取得しておく必要があります。もし、取得せずに出国してしまえば、1年経過した時点で在留資格が消滅してしまいます。
これは永住者でも同じです。消滅した場合、また新規で在留資格を取得しなければならないので大変面倒な事になります。永住者も海外に出国する時は、出国期間がどの位になるのか特に注意しておきましょう。
2.永住許可申請の方法
永住許可を取得するには一定の要件を満たしている必要があります。日本での居住年数は、通常は10年間必要ですが、日本人と結婚している人は、結婚して3年経過して、日本に1年以上居住していれば良いとされています。
永住許可申請書は出入国在留管理局に提出します。手続の際、分からない事があったら出入国在留管理局に問い合わせて聞く事が出来ます。
はじめは別の在留資格で、日本で一定期間生活する
日本にはじめて入国する外国人がいきなり永住者になる事は出来ません。まずは「留学」「技術・人文知識・国際業務」「日本人の配偶者等」など、別の在留資格を取得して入国します。そして、一定期間決められた在留資格で日本に滞在する必要があります。
通常、永住許可申請で必要な居住歴は10年です。但し、留学で日本に入国した後、就労系の在留資格に変更した場合、就労系の在留資格で5年以上在留している必要があります。
また、日本人と結婚している外国人は結婚して3年経過していて日本に1年以上居住していれば良いとされています。
永住許可取得に必要な一般的な要件
永住許可取得の一般的要件は以下です。
- 素行が良好であること・・・対象になるのは税金、社会保険料、犯罪歴です。税金や社会保険料は、未納分があると審査で不利になります。犯罪歴は前科があると、量刑の重さによりますが、日本での居住歴が通常より長い期間必要になります。
- 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること・・・安定した収入がある事が必要です。結婚している場合、夫婦世帯で安定収入があれば問題ありません。収入額は少なくても、安定収入があれば良いので、定職についているかが重要になってきます。
- 健康であること・・・健康診断書などの提出を求められる事があります。
- 身元保証人がいること・・・身元保証人の資料を求められます。
永住許可申請に必要な書類
以下の書類を出入国在留管理局に提出します。
- 永住許可申請・・・定型書式があります
- 身元保証書・・・定型書式があります
- 理由書・・・日本に永住を希望する理由を記載します。
- 過去3年の所得及び納税状況を証明する資料・・・住民税納税証明書や源泉徴収票などの資料を提出します。
- 身元保証人の資料・・・保証人の職業を証明する資料及び所得税証明書
- 保有する資産の資料・・・不動産の登記簿謄本、銀行の預金通帳など
- 職業を証明する資料・・・在職証明書、給与明細書などを提出します
以上が必要な書類ですが、個別に追加で資料を要求される場合があります。履歴書の添付を要求された場合、以前に提出している履歴書と矛盾していないか注意しましょう。
矛盾した資料を提出した場合、それが理由で不許可になる事がありますので、このあたりは慎重に対応しましょう。
3.永住許可取得には日本での生活実績が大事
最低限必要な要件を満たしているからといって、申請が必ず許可されるとは限りません。
特に日本での生活において、問題となる行動があると審査に不利になります。小さな法令違反でも回数が増えると不許可になる可能性が大きいので、普段から注意しておきましょう。
素行要件で審査の対象になる事とは?
税金や社会保険料は、全く払ってなかったら審査で不利になりますので、永住を考えている人は早めに払うようにしましょう。未納分がある場合、今からでも遅くないので払っておきましょう。
犯罪歴は、懲役又は禁固の場合、その執行を終わり又は執行の免除の日から10年経過していないと、永住許可は下りません。執行猶予の場合、執行猶予期間は永住許可が受けられません。したがって居住歴なども通常より長い期間必要になる場合があります。交通違反も対象になるので注意しましょう。
軽い交通違反は2、3回程度なら大丈夫ですが、回数が多くなると不利になるので気を付けましょう。
日本で安定した生活を送ろう
日本で会社員として働いていれば、安定した収入は保障されます。また、社内規則を守って真面目に働いていれば犯罪等に巻き込まれる事も少ないと思います。会社員であれば、税金、社会保険料の未納は防げます。
まずは日本で安定した職に就くことが永住許可を受ける近道かもしれません。仮に会社員にならなくても、日常生活及び社会生活で違法行為又は風紀を乱す行為は避けましょう。パートやアルバイトなど何らかの職に就いていると、そういったリスクを避けることが出来ます。
日本での生活の仕方をしっかり考えて自分がストレスを感じること無く安定した生活を送れるように工夫する事も大事になってくるでしょう。
健康状態や周囲との人間関係も審査対象になる
永住許可申請では健康診断書と身元保証人の資料の提出を求められる事があります。
法律上は必要な要件ではないですが、実際は健康状態や周囲に頼れる人がいるかが審査で重要になってきます。健康診断は出入国在留管理局が指定する病院で受ける必要があります。
また、在日在外親族の概要書を提出して自身の家族構成は明らかにしておくと良いでしょう。理由書などに日本での親族や友人の存在や、普段どのように生活して、周囲とどのように関わっているのかなど説明しておくと良いと思います。
永住許可取得後も外国人である事には変わりない
永住許可を取得しても国籍は外国籍なので、重大な犯罪を犯すと永住許可を失う場合があります。また、選挙投票権などもないので、政治活動する上で、かなり制約を受ける事になります。
もし、日本社会に完全に溶け込み、社会的にも日本の発展の為に活動していきたいと思ったら、日本国籍取得を検討しても良いのではないでしょうか。
必要があれば日本国籍の取得も考えよう
日本人でなければ選挙に出ることも出来ませんし、投票する事も出来ません。社会的な活動をして日本の発展の為に活動していくには外国人であると不利になる事が意外とあります。
但し、日本は2重国籍を認めていないので、日本に帰化した場合、今までの国籍は失う事になります。祖国に帰国する時、今までよりも手続が面倒になる場合があるので、慎重に考える必要があります。日本に長く住むためなら永住許可を取得する事で十分なので、その後の帰化の検討は時間をかけて考えてよいと思います。